三浦日記

音楽ライターの日記のようなもの

Aftermath / MUSE (和訳・解説)

※()内は直訳的な意味。

〈War is all around,

戦争はあらゆる場所で起こっている

I'm growing tired of fighting

私は戦う事に疲れ果ててしまった

I've been drained and I can't hide it

私はそれを誤魔化せないくらいに衰弱してしまった

(私は衰弱し、それを隠すことができない)

But I have strength for you,

だが、あなたの為なら力を振り絞って戦える

(だが、あなたの為なら力はある)

You're all that's real anymore

あなたはこれ以上にない程に大切な人だから

I am coming home now,

私はようやく家に帰ることができる

I need your comfort

あなたの慰めが必要だ

From this moment, from this moment,

その瞬間、その瞬間から

 

You will never be alone

あなたはもう独りではない

We're bound together now and forever

私たちはこの先ずっと一緒だ

The loneliness has gone

孤独な時間はもう過ぎ去った

 

States are crumbling

権威構造は崩壊する

And walls are rising high again

そして、壁はより高くなって再構築される

It's no place for the faint-hearted

そこには臆病者のための場所はない

But my heart is strong,

だが、私はそんな軟な人間ではない

(だが私の心は強い)

'Cause now I know where I belong

何故なら私は今こうして自分の居場所を噛み締められているからだ

(何故なら私は今、自分にとって相応しい場所を自覚しているからだ)

It's you and I against the world,

あなたと私はこの世界と戦った

And we are free

そして、私たちは自由の身になった


We've gone against the tide

私たちは世の中の時流に逆らった

All we have is each other now

今の私たちにあるのはお互いの存在

But I'm coming home now

ところで、私ようやく家に帰ることができる

I need your comfort

あなたの慰めが必要だ

 

From this moment, from this moment,

その瞬間、その瞬間から

You will never be alone

あなたはもう一人ではない

We're bound together now and forever

私たちはこの先ずっと一緒だ

The loneliness has gone

孤独な時間はもう過ぎ去った

 

We're bound together now and forever

私たちはこの先ずっと一緒だ

The loneliness has gone

孤独な時間はもう過ぎ去った〉

 この曲はMuseの7thアルバム『Drones』(2015)に収録されている。The Beatlesの"Golden Slamber"を彷彿とさせる曲調に、"Aftermath(災難の後)"の"虚しさ"と"喜び"が見事に表現されている。そこはかとない悲しさの感情を孕んだ導入部分には何とも渋いギターのサウンドが。そこから徐々に嬉しさや安堵へと解放されていくような展開。それは建物や煉瓦崩れ、砂埃の舞う荒廃しきった場所から、青々とした草や淡い色の花が一面に広がり、小鳥がさえずるような平穏な場所へと移り変わっていくような印象を受ける。

 戦うことに疲弊しきった、一人の兵士。疲れによって心身はともに蝕ばまれ、既に誤魔化しが効かなくなっている。それでもなお兵士は愛する人のために戦い続ける。いつしか戦争は終結し、ついには愛する人の元へ帰ることができることに安堵する。そしてその時自分がようやく"自由の身"になれたことを自覚する―。

 戦争には家族との別れがつきものである。戦地で倒れ家族に二度と会うことができない者。引き揚げたものの、家に残した家族が戦争によって亡くなってしまった者。人間の権力闘争を最も合理的に解決する手段である戦争。だが、合理性や効率性だけでは説明できない、人道的な面の存在があることも決して忘れてはならない。そこには当事国の人々にしか理解できないような"苦しみ"や"悲しみ"が常に渦巻いているのである。この曲では戦争のそうした面を"示唆的"に伝えようとしているのかもしれない。【ほぼ日刊三浦レコード39】

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MVには日本のお笑い芸人鉄拳の描いたアニメーションが採用されている。

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