三浦日記

音楽ライターの日記のようなもの

渡航前から一生分の運を使い果たした話【トルコ滞在記】

 ある奇跡的な話をしたい。

 7月14日の22時半、満を持してトルコに飛び立つ予定だった。だが、用事が押しに押して21時40分、出発の45分前に空港に到着した。この時点で筆者の身に何が起こったのか察しがつく人はいるかもしれない―。チェックインカウンターには渡航客らしき人は殆どいない。不気味なほど閑散としている。不安になったのでトルコ航空の女性スタッフがいたのでその方にチェックインについて聞いてみた。そこで自身が犯した人生最大のミスを初めて知ることとなる。

イスタンブール行きの搭乗手続きは...15分前既に終了してしまいました...」

頭が真っ白になった。何度も海外に行っている人なら分かるはずだが、国際便の搭乗手続きというのは基本的には1時間前が普通である。国内線は20分前までじゃーんと思っている人は要注意だ(自分のことである)。

 「どうしよう」という単語が湯水のように口から湧き出てくる。これではトルコに行くことができない。志半ばで無念、腹切り。トルコ滞在記完!

 チケットはサマースクール側が手配してくれていたため、とりあえず向こうの方に連絡を入れてみる。すると、

「チケットは往復のため変更することができません。サマースクールに来る場合は自分で再び新しいチケットを手配して下さい」

という返事が帰ってきた。言わずもがな絶望的な状況である。わけもなく空港内を右往左往した。ふと我に返って時間をみると22時50分。終電が近づいてきていたので、とりあえず電車の中で今後について考えることにした。トルコまではいくらかかるのか(乗り過ごしたチケットは向こうが用意してくれていたので費用はかからなかった)。直行便だと25万円、乗り継ぎ便を使っても12万円か。クレジットカードは利用の限度額が近づいていて、そのような大金を払える状況ではない。いやはやサマースクールに行くのを諦めてしまおうか。どう考えてもマイナスな思考ばかりが浮かんでくる。電車から飛び降りようとする突発的な感情はこうして生まれるのだなと思った。

 だが、事態が急変する。朦朧とした意識の中でサマースクールで共有されているLINEグループに目をやると、

イスタンブール便はフライトキャンセルとなりました。替わりの便は未定です」

という書き込みがあった。むむむっ⁈ 成田空港の最終の運航時間は既に過ぎているために、その日の出発はない。話によると寝袋が配られ、空港内で一夜を明かすらしい。今度は向こう側が絶望的な状況になった。出発していない便のチケットだから、もしかしたら代替の便に乗ることができるのではないかという一抹の希望が生まれた。

 翌、15日の12時頃アナウンスが入る。

「代替の便は16時25分に決まりました。チェックインは13時から可能です」

チェックインカウンターは既に長蛇の列ができている。遅れをとるのはまずいと、すかさずその列に並ぶ。ただ、前日の搭乗手続きを済ませていないのに代替便に乗れるのかという不安がよぎった。だが、事態はあっさりと解決する。事情を説明すると、昨日のチケットをキャンセルされ新しいチケットが手に入った。万事休す―。

  チェックインは早ければ早いほどいい。これは教訓ではない、常識である。早くも渡航前から既に一生分の運を使い果たしてトルコへ出発することになった。

 

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