三浦日記

音楽ライターの日記のようなもの

エレカシ宮本 蔦谷好位置について語る

ジョー横溝氏がMCを務めるInter FM、『ほぼ週刊○○ナイト! "ほぼ週刊宮本浩次ナイト!"』にて、エレファントカシマシの宮本氏が蔦谷好位置氏について語る場面がありました。これが放送されたのは2010年。ちょうどアルバム『悪魔のささやき~そして、心に火を灯す旅〜』がリリースされる、という頃でした。先日、久々に野音で共演を果たしたということで、書き起こしてみたいと思います。

 

 

ジョー横溝:宮本さんの中でプロデューサーを作品の中に迎えるというのは何か意図があったりするんですか。今回は、プロデューサーに蔦谷好位置さんを迎えていますが、そのきっかけを教えてください。

 

宮本浩次:蔦谷好位置さんは名前は知っていたんですね。YUIさんの歌とか作っていて、新進気鋭のコンポーザーっていうことで。曲も作るし、演奏もするし、噂は知っていたんです。その頃、「涙のテロリスト」って呼んでた「笑顔の未来へ」っていう曲を作っていて。これはね、『STARTING OVER』っていうアルバムに入っているんだけど、それができたときに、俺たちもユニバーサルミュージックに移ってワクワクしているときで。また新しい仲間とできるぞっていう感じだったんです。もちろん、バンドでもやっていたんだけど。それをあえて歌とギターだけで作ったものを、蔦谷さんに渡したんです。まだ顔も見ぬ蔦谷さんにですよ(笑) 名前だけ知っていて。まあ、ひそかに曲とかは聴いていたんだけど。でさ、やっぱり蔦谷さんとやるっていうことでワクワクするじゃない。新しい出来事ということでね。

 

それから、出来上がったのを聴いて泣けてきちゃったんだよね。なんというか、いろんな感動があってさ。というのも、自分の書いた曲がこんなにも素敵になって帰ってきたということ、そして何よりも俺の歌が届いている感じがしたんだよね。実際は知らないよ(笑) なんというか、"歌レター"じゃないけども。まだ見ぬ蔦谷さんに届いて帰ってきたんだよ、俺の歌がさ。それでさ、一発だよね、プロデューサをやってもらおうって思ったの。で、それは音だけではなく何でもいいと思っちゃったんですよ。たとえば、カメラマンの仕事で写真撮られるとき、カメラマンを好きになっちゃうと、もう自分が写っていなくてもいいんじゃないか、とか思っちゃうんだけど。それに近い感覚でしたよね。

 

ジョー横溝:そんな宮本さんのラブコール、蔦谷さんはいかがですか。

 

蔦谷好位置:そうやって言っていただけるのはすごくうれしいですね。「涙のテロリスト」(「笑顔の未来へ」)に関してはここ近年で、一番早くできたアレンジかもしれないです。デモをもらってもう5分ぐらいでできてしまう、みたいに。だからある意味、宮本さんの思いがストレートに伝わったのかもしれないですね。

 

宮本浩次:蔦谷さんは、とことん仕事なんですよ。そこに好き嫌いとかなく、ストレートにやっているだけなんだよね。まあ、僕もそうだし。で、アレンジになるとやっぱり違うんだよね。サウンドのプロデュースだけではなくて、歌のサビが、長くなっていたり、味付けがされていたりしていて。でもそれは多分、蔦谷さんがストレートに仕事をしているということでもあると思う。で、そこにロマンがあるんだよね。とにかく音楽を信じていて、ロマンチックに音楽をとらえている人なんですよ。おそらく本人は、その辺を何にも考えないでやってるわけ。

 

ただ、僕がストレートにやるのと、蔦谷さんがストレートにやるのとは全然違っていて。でね、そういう経験ってなかなかできないなと思いますよ。バンドの仲間と初めて会った時のような感じというか。これからどうなるかはわからないんだけれども。だから、最初の時の印象っていうのはほんとにそういう印象でした。ストレートでロマンチックなんです。僕から見るとね。音楽に対してすごいロマンを持っていて、夢も持っている、で大きな野望も持っていてっていう。すごく男性的っていうか。僕はそういう風に思っていますね。

 

 

〈書き起こしおわり〉

 

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